
Vケット用ワールド制作の雑記
はじめまして。
コンセプトワールドの制作をさせていただきました、ヨッシャと申します。
文章を書くのが大変苦手なのですが、「何でもいいから書いて!」とフィオさんに言われたので頑張って書いてみようと思います。
何を書こうかなぁと思ったのですが、Vket4で3回目のワールド制作だったので、3回やってきた中で製作中考えていた事なんかを書いてみようと思います。どちらかというと、ワクワクする話ではなくて、堅苦しかったり泥臭い部分かなぁと思いますが、興味のある方はどうぞ。
コンセプトワールドの制作をさせていただきました、ヨッシャと申します。
文章を書くのが大変苦手なのですが、「何でもいいから書いて!」とフィオさんに言われたので頑張って書いてみようと思います。
何を書こうかなぁと思ったのですが、Vket4で3回目のワールド制作だったので、3回やってきた中で製作中考えていた事なんかを書いてみようと思います。どちらかというと、ワクワクする話ではなくて、堅苦しかったり泥臭い部分かなぁと思いますが、興味のある方はどうぞ。
Vケットの立ち位置とそのワールドに求められる役割
まだまだVR人口は少なく、その中でもVRChatのようにコミュニケーションツールとして利用する人は更に限られています。そのようなお世辞にも広いとは言えない世界ではありますが、少しずつ経済圏が生成されています。
しかし、特に日本人コミュニティでは多数のクリエイターが3Dモデルやワールド制作等で素晴らしい作品を生み出している一方で、現状その狭い世界だけでは供給過多になりかねない、むしろ現状そうなっていると言わざるを得ない状態であると個人的には考えています。
では需要を増やすにはどうすればよいのか。その解決策はおそらく沢山あるのだと思いますが、その一つに”ユーザーを増やす”ことがあげられると考えています。
そういった背景において、Vケットの場として利用されるワールドには、まだVRを体験したことのない人々が感動したり体験してみたいと思える、ワクワクするような世界が求められているのだろうと勝手に思っています。
もちろんそれを実現する中で、現在利用しているユーザーをおろそかにするようなことはあってはならないと思っているので、上手くバランスを取れたらなぁーなんて思いながら作っています。
しかし、特に日本人コミュニティでは多数のクリエイターが3Dモデルやワールド制作等で素晴らしい作品を生み出している一方で、現状その狭い世界だけでは供給過多になりかねない、むしろ現状そうなっていると言わざるを得ない状態であると個人的には考えています。
では需要を増やすにはどうすればよいのか。その解決策はおそらく沢山あるのだと思いますが、その一つに”ユーザーを増やす”ことがあげられると考えています。
そういった背景において、Vケットの場として利用されるワールドには、まだVRを体験したことのない人々が感動したり体験してみたいと思える、ワクワクするような世界が求められているのだろうと勝手に思っています。
もちろんそれを実現する中で、現在利用しているユーザーをおろそかにするようなことはあってはならないと思っているので、上手くバランスを取れたらなぁーなんて思いながら作っています。
酔い対策
ワクワクして体験してみたいと思ってHMDをつけたユーザーが最初に心を折られるのが、VR酔いだと思っています。僕自身結構酔いやすくて、HMDをつけて歩き回る時は映像からの情報と動作をあわせるために足踏みをするみたいな滑稽なことをしながら利用したりしていました。
VR酔いに関しては少しずつ論文なども増えてきていますが、すべてを追いきれていないのでざっくり原因としてあげられている物に対して対策を意識しつつワールドを作っています。
VR酔いに関しては少しずつ論文なども増えてきていますが、すべてを追いきれていないのでざっくり原因としてあげられている物に対して対策を意識しつつワールドを作っています。
- ・上下移動への配慮
- 急な坂やエレベータータイプの上下移動などは酔いを誘発しやすいとされています。
上下移動が無いワールドにすればオールオッケーなのですが、どうしても出展ブースを複数配置するため広さを確保する必要があり、ある程度環境に変化が無いと回るのに飽き兼ねないので、バランスを見つつ入れたりしています。
ワールド制作においてオブジェクトの大きさは自由自在ではありますが、坂を作るときは階段の高さを建築基準法における一般住宅の場合の階段寸法(蹴上23cm以下、踏面15cm以上)を意識して作成したり(途中でサイズ変更をしてしまって厳密に守れていないかもしれません…測らないで…)、それを元に角度を調整し、できる限り長い坂を作らないように気をつけています。(できてないところもあると思う…測らないで…笑)
Vket3の欠番街には中央にエレベーターを設置していますが、上下運動に慣れている酔いにくくなったVRヘビーユーザー向けで、酔う人(やPCスペック的に中央を見ると厳しい人)の為に階段を別途用意していたりします。 -
一気に高低差を体感しないように設置した踊り場
- ・予測不可能な動きを減らし予測可能な演出を心がける
- 例えば、落ちると思わなかった場所から落ちる、なんかは前述にある上下移動も加わりVR酔いを発生させやすいですし、壁を突き抜けてしまうこと(コライダーを適切に設置していない)も意図しない動きである(現実では起こり得ない)ので酔いの原因となります。
そのためできる限り丁寧にコライダーを設置し、壁が無くてもその先落下の可能性がある場合は落ちないようにしています。
出展者さん方のブースでは一部壁コライダーを省略していたりしますし、酔いになれたユーザーからすると逆にコライダー邪魔だなぁっと思うことも多いので、全てきちんとつけなければならないというわけではないと思っています。ただ、ワールドにおいては、悪影響にしかならないので気をつけています。 -
絶対に落とさない強い意志を持ったコライダー
- ・動作改善
- 負荷が高いと画面の更新が遅れガクガクになって酔います。正直まだまだ改善の余地があると思っていますが、なかなかうまく行かないところも有り、試行錯誤しています…。
今回(Vket4)においては、制作初期段階からブースの表示数とset pass calls、batchesがワールド制作上設定された規定数以上にならないように、Render timeなんかも、ツールでチェックしながら遮蔽物の設置とカリングの設定等行っています。 - 出展者さんの制作ブースに制限を追加していけばある程度並んでいても負荷が高くなることは無いのは明らかなのですが、出展者さんに負担を強いることはできるだけ避けたいので、ワールドの構造で改善できたらなぁと思っています。
(単純なワールドにするというのも一つの手ですが、述べたVketのコンセプトワールドとしての役割を果たせないのでその選択肢を取ることはできません)
(開放的なワールドにするとカリングなども効きづらく、デザインとのバランスが難しいなぁと思っています…) -
Occluderとしての役割を果たさない建造物の代わりに設置されたCube -
・期待と興奮の誘導
CEDECで見たのですが、没入感が上がると酔いを感じにくくなるという説があります。その没入感を上げる要因は期待と興奮だという話でした。
そのため、それに則って今回の阿頼屋敷はワールドに入って最初に見た景色で一気にテンションが上がるように意識して制作しています。
また、15秒同じような景色を見ると飽きる、みたいな話も何処かで見たので、新しい物が適度な間隔で目に入るように、期待値が上がっていくように心がけています。
ワールドデザイン
酔い対策を満たした構造を大まかに思い描いた上でワールド全体のデザインと要素を考えていきます。また、ワールド容量削減のために、テクスチャサイズを小さく、タイリングを利用できる部分はしっかり利用することを意識したデザインにしていきつつ、コンセプトアートにできるだけ近いものを実装できるようにしていきます。
- ・コンセプトアートの再現
- これは絶対に守っていて(Vket2は全く無理だったのですが笑)、出展者さんはコンセプトアートを見て出展ワールドを決めてくださるので、違うものになっていたらダメだと思っています。そのため、可能な範囲で再現をするよう心がけています。
- ・ブース配置区画デザインの統一とシンプル化
- できるだけ出展者の皆さんが同じ条件でブースが配置されるように、今回はブース周辺のデザインを統一しました。どこに配置されるのか、どういう風景の場所になるかで、出展者の方々が悩んだり一喜一憂しないといいなぁと思っています。
- 九龍のときは区画がわかりやすいようにという意図で、それぞれに目立つオブジェクトを配置し、その近くにブースが配置されるような作りにしていましたが、よりブースをメインに見ていただけるよう、配置場所はできる限り飾り気のないデザインにしました。
- ・ワールドとしての楽しさ、共有したくなる何か
- 前述にもあるように、ブース配置場所に目立つデザインを置かなくなった代わりに、区画と区画の間に印象的な場所を作ったり、普通だと行けない場所を作ったりと、ワールドとしての楽しさも残すようにしています。
- SNSを利用しているユーザーの方も多いので、できるだけSNSで共有したくなる場所を作ることを心がけています。写真を撮ったらきれいな場所、分かる人にしかわからない物、そういうものがあると訪れた人々がSNSで共有し、それを見た人が自分も足を運ぼうとワールドを訪れてくれる。訪れた中で素敵なアバターやアイテムに出会う。そういう流れができたらいいなぁと思って配置オブジェクトや空間づくりをしています。
- 今回の阿頼屋敷は5ワールドありますが、単なる複製ではなく象徴的なオブジェクトを大きく変えてあるのも、少しでも他の阿頼屋敷に行ってみようかなぁという気持ちをいだいてもらえると良いなぁという気持ちからだったりします(本当に微力だと思いますが…笑)

- ・迷わない作りとルートの短縮
- 割と自分自身は探索できる方が好きなので、前回まで三叉路とかも作っていましたが、今回から割り切って一本道にしました。(ワールドとしての楽しさは別のところで付与できると考えたので、道は単純に、ギミックで探索要素を補いました)また、できる限り短い歩行距離にして絶対全部回りたい人たちにも寄り添えるように作ったつもりです。ワールド狭くなったなぁと思った人もいるかもしれないですね…笑
- テレポートは、気づかれやすくするのが想像以上に難しいので、主の動線として利用しなくてよいようにしています。
- 探索要素も、必ずやらなければいけない部分に入れてしまうと、ブースだけを見て回りたい人にとっては苦痛でしかないので、やりたい人はやる、という立ち位置にするようにしました。

もっと細かくみるとあれはこういう意図で、これはこう考えて…みたいなのがたくさん出てくると思うのですが、長時間書いてめちゃくちゃ長くなってきたし、僕自身疲れてきたので、突然ですがこのへんで終わろうと思います笑
毎回いろんなことを考えつつ作っているつもりですが、いかんせん知識も技術も経験もまだまだ足不足しており、出展者の方にも来場者の方にもご迷惑をおかけしている部分が多々あると思います。少しずつ改善していけるように頑張っていますので、生暖かく見守っていただけると幸いです。
では普段ではなかなかお話していない部分でした。
(この記事も半年一年経つと恥ずかしくなるんだろうなぁ…)
2020/5/02 ヨッシャ